01年3月号 「永久パターン それは、不死への挑戦」

1秒でも長く生きるため、100点でも多く稼ぐため、プレイヤーは全能を傾ける。
そして開かれる、異常現象への扉……。

04/05/11 アップ
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●本文

 「永久パターン」というのは、特定の場面で粘って、ゲームを進行させずに永久的なプレイを可能にするパターンのこと。
 永久パターン(以下永パ)が成立してしまうと、不当な長時間プレイが可能になってしまうため、メーカーもそれを許そうとはしない。当然、多くのゲームには様々な永パ防止策が講じられている。
 しかし、ゲーマーの探究心やテクニックは、時としてそれらの壁をも乗り越えてしまうのだ。

■永パの成立形態

 これまでに、様々なゲームで永パが発覚してきたが、その成立形態は大きく4種に分類できる。

(1)ボス自爆しない系:単純でもっとも芸のない成立形態でありながら、なぜか後を絶たない。シューティングゲームなどでいくら粘ってもボスが自爆せず、特別な永パ防止システムもない、というもの。ザコやアイテムなどで得点できる場合は、ハイスコア集計も打ち切りだ。
 ボスの自爆関係でケッサクだったのは「ASO II(91年/SNK)」。ラスボスが自爆しない! と思いきや、30分くらい粘ると自爆するという……。最初にこれを発見した人、偉いよ。

(2)残機つぶし系:ミスすると、同じエリアの最初に戻されるタイプのスクロールゲームで、点効率の割に甘いエブリエクステンド設定や、うかつな1UPアイテムがあったりするとかなり危険。1エリア内で1回以上エクステンドしてしまうと永パ成立だ。わざとミスして同じエリアを繰り返しても、残機を減らさずプレイし続けることが可能になってしまう。「アーガス(86年/ジャレコ/NMK)」「B−ウィング(84年/データイースト)」「ザビガ(84年/データイースト)」「T.A.N.K(85年/SNK)」などがこれにあたる。

(3)ZAP利用系:ここで言うところの「ZAP」とは、何らかの条件を満たさないと前のステージに戻されたり、同じステージを繰り返しプレイさせられること。アクションゲームに多いシステムだ。
 「ドルアーガの塔(84年/ナムコ)」では普通にクリアすることに飽き足らないマニアによって、わざとZAPしてその回数を競うといった遊び方もされていた。
 「源平討魔伝(86年/ナムコ)」、「バトルフィールド(87年/SNK/アルファ電子工業)」「魔獣の王国(87年/コナミ)」「大魔界村(88年/カプコン)」といったタイトルも、このタイプの永パだ。

(4)永パ防止キャラ避けきれる系:ゲームによっては、一定時間を経過すると法外に強いキャラが出現、露骨にプレイヤーを殺しにかかってくる。これを俗に「永パ防止キャラ」と言うのだが、対処法が確立できてしまうケースがある。
 有名なのは「ドラゴンバスター(85年/ナムコ)」のケイブシャークという永パ防止キャラ。一定軌道にハメるパターンが発見されてしまい、永パ防止どころか永パの点効率アップに貢献してしまったという、ミジメな永パ防止キャラである。「バラデューク(85年/ナムコ)」や「未来忍者(88年/ナムコ)」も同様の永パだった。

■特殊な永久パターン

 これまでに説明してきた4タイプは、言ってしまえば、「ありがち」な永パの成立形態である。
 興味深い点は、この4タイプにカテゴライズされないもので、なかには、様々な意味で想像を絶する永パも存在する。

■タイマー破壊系/任意スクロールや固定画面のアクションゲームでは、タイム表示があり、タイムオーバーになると問答無用でミスとなるものが少なくない。「永パは絶対許さん!」というメーカーの意気込みが感じられる、非情な永パ防止システムだが、これでさえ抜け道が発見されるケースがある。有名なのは「魔界村(85年/カプコン)」で、「タイマー破壊」という言葉もこのゲームから生まれたと言われている。タイムが0秒になると同時にある特定の行動をすると、タイマー表示がバグって「時間無制限ゾンビ撃ち大会」になる、という永パだ。稼いで残機を増やしてから先に進むことができたので、大変実用的(?)な永パとして広く普及していた。
 「忍者ウォーリアーズ(88年/タイトー)」も、「0秒で〜」によるタイマー破壊永パが可能だ。

■ブロック崩し系/意外に永パが多いのがブロック崩し関係。ボールのスピードUPによる難度上昇や、ブロックを消してしまえば強制的にステージクリアになるというシステムのため、これといった永パ防止措置がない作品が多いからだろうか?「リベンジオブDOH(87年/タイトー)」「アルカノイドリターンズ(97年/タイトー)」「プチカラット(98年/タイトー)」といったタイトルで、永パが確認されている。

■対戦格闘ゲーム/「ストリートファイターII(91年/カプコン)」を始めとして、いくつかの作品で永パが確認されており、そのほとんどはタイムアップの瞬間に特定の動作をすると……といったタイマー破壊系。
 しかし、「餓狼伝説スペシャル(93年/SNK)」はスゴかった! スコアアタック仕様の改造コンパネである操作をすると、同じ敵と繰り返し何回も闘うことが可能になるのだ! 実にミラクルな永パであると言えよう! ダックキングとジョー東でしかできない、というのもいい味出してる。

■その他/永パにはテクニカルでプレイ内容的に面白いものも少なくないが、逆に、気が遠くなるほどくだらないものも存在する。
 筆者のイチオシ(?)は「コラムス(90年/セガ)」。イージースタート限定だが、1個目のブロックを落とし、2個目のブロックをその上で左右に動かしていると永遠にくっつかない、というもの……。点数も入らないし、あきれるほどに意味がないが、これも立派な(?)永パの一種だ。
 「倉庫番デラックス(90年/ナムコ)」も負けてはいない。ステージが始まった瞬間に一歩歩いてキャンセル〜を繰り返すと、タイムが減らず、めでたく永パに……。しかも「歩行点」が10点加算されるため、ハイスコア集計はしっかり打ち切りに。あ〜こりゃこりゃ。

●コラム(左ページ上段)
愛すべき名脇役 〜永久パターン防止キャラ〜

 単純に永パを防止するだけならば、タイマーを設定してタイムアップと同時に即死するシステムにすれば充分だ。しかし、そういったタイマー制の何と味気ないことか。暗黙の了解として「何をしても許される」永久パターン防止キャラ達は、むしろプレイヤーを楽しませてくれる存在だったのだ。そこには「絶対的な死」に蹂躙される驚きや快感があった……。近年はアクションゲームが少なくなったこともあり、こういった永パ防止キャラがほとんど見られなくなってしまったのは残念なことだ。

(写真キャプション。全9枚)
(1)「ロンパーズ(89年/ナムコ)」の使い魔。ヒロインより人気のあった永パ防止キャラとして有名。
(2)「カルテット(86年/セガ)」背景に死神のシルエットが出現、実体化して大鎌で攻撃して来る。
(3)「チキチキボーイズ(90年/カプコン)」タイム表示が0になると出現、ボディに刻まれた「OVER」の文字がまぶしい。
(4)「パックランド(84年/ナムコ)」のスー。タイムアップと同時に猛ダッシュで迫ってくる。
(5)「マッピー(83年/ナムコ)」のご先祖様。かなり本気で殺しに来る永パ防止キャラ。
(6)「超絶倫人ベラボーマン(88年/ナムコ)」の初号(ウゴー)。「ウゴーウゴー」というボイスと共に登場、超痛いレーザーを乱射して来る。
(7)「ドラゴンバスター」のケイブシャーク。通常はこのように、プレイヤーに噛みついて、死ぬまで離れない。
(8)「銀河任侠伝(87年/ジャレコ)」しょぼい火の玉のような永パ防止キャラが出現。キャラや世界観がぶっ飛んでいる割に、まったくさえない永パ防止キャラである。
(9)「妖怪道中記(87年/ナムコ)」の鬼火は「1コインクリア防止キャラ」として悪名高い。縦スクロール地帯を利用して消す攻略法が発見されたことにより、1コイン天界という偉業が達成された。

様々な永パ防止フィーチャー

 専用の永パ防止キャラは登場しないが、それ以外の様々な手段でプレイヤーの息の根を止めに来るゲームも少なくない。「Mr.DO VS ユニコーン(83年/ユニバーサル)」や「平安京エイリアン(79年/電気音響株式会社)」では、一定時間が経つと敵キャラが分裂増殖を繰り返し、凄まじい数で襲いかかってくる。「エレベーターアクション(83年/タイトー)」では、BGMの変化と共に敵がパワーアップ。エレベーターの操作性も悪くなり、まともに制御できなくなる。しかも、一回ミスして次のキャラになってもその状況が解除されないため、そのまま全滅しても不思議じゃないほどのキツさなのだ。

●コラム(右ページ下段)
緊急特別速報! あのディグダグに永パ発覚!?

 コラムス超絶くだらない永パの話を京城に聞いて興奮した当コーナー担当REDさんズは、「俺も超絶くだらない永パを見つける!」と、鼻息荒く永パのできそうなレゲーを物色し始めた。まず目を付けたのは、タイマーがなく永パ防止キャラも出そうにない「エレベーターアクション」だったが、とんでもない永パ防止システムをくらってさらに頭に血がのぼった。そして考え込むこと数分、次に目を付けたのは「ディグダグ」。そう、敵を残り1匹にした状態で、少し膨らませて、しぼんだらまた少し膨らませて〜を繰り返すという作戦だ。1分、2分……、あまりの単調さとバカバカしさに、ギャラリーしていた編集からヤジが飛ぶも、「30分後に自爆したらどうすんだ」等と意味不明な言葉をつぶやきながら渾身の目押しを続けるREDさんズ……。そして開始から5分「よし完璧、次はディグダグII」という言葉と共に、ディグダグ永パチャレンジは終了したのであった……。

●欄外

お詫びと訂正:前回、バトルガレッガの永パについて、「実行するとランクが上がりすぎてクリア不可能に……」といった記述がありましたが、性格にはランクが上がることが理由でクリア不可能になるわけではありませんでした。ゴメンナサイ。


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