01年8月号 「私闘・サラマンダ戦記」

上手い人は皆天才? いやいや、そんなことはナイですぜ!
未来のA級シューターを目指す君に。

04/03/09 アップ
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●本文

 シューティング初心者にとって上級者のプレイ、特に敵弾の嵐をスイスイとくぐり抜ける「弾避け」は、まるで魔法か手品のように見えているのではないだろうか? また、ゲーム雑誌などのハイスコア集計で全国トップに輝くスコアを見て、「なんでこんなに高いスコアが出るんだ?」と、驚愕したことがある読者も少なくないだろう。上級者の超絶プレイ、叩き出されるハイスコアは、時として初心者のやる気を無くさせるに充分な効果を持っている。
 しかし、この世に魔法なんてものは存在しないし、手品には必ずタネがある。
 多くの初心者は、上級者の超絶プレイに秘められた手品のタネを見抜けずに、ただただ驚くばかり……。
 今回のオールドゲームミュージアムは、いつもと趣向を変え、「サラマンダ」という名作をやり込むことによって、ヘタレだった当時のオレが手品にはタネがあることに気がつき、一皮ムケるまでのお話だ。


■3−5

 サラマンダは86年夏、グラディウスの続編として鳴り物入りでゲーセンに登場。前年に発売されたグラディウスの人気が衰えていないうちに発売されたことも手伝い、シューティングマニアを中心に大ヒットとなった。

 グラディウス大好き小僧だったオレも、当然のようにこのゲームに大ハマリ。最初は1周、2周と順調に駒を進めていけたわけだが……マニア殺しの第一関門、3周目以降の5面ではとことん死にまくった。まあ、お約束だな。

 サラマンダは3周目から撃ち返し弾が発生する。5面はもともとタチの悪いザコが大量に出現するステージで、3周目になると道中からボスにいたるまで、いきなり桁違いの難しさになるのである。かなりの上級者であっても、すべての場面をきちんとパターン化しなければ、安定してクリアすることは難しいステージなのだ。

 当時のオレは「シューティングが上手いこと=アドリブの弾避けが上手いこと」と、なんの疑いもなく思いこんでいた。これは、その頃は今ほどパターン性の高いシューティングばかりではなかったことも、大きく影響していたと思う(※1)。
 ともかく、ひたすら気合のアドリブ避けを武器に3周目の5面に挑み、敵弾に囲まれて大暴れしながら派手に死ぬ日々が、延々と続いた。そうこうするうちに、当時ハイスコア集計をしていたゲーメストやベーマガ誌上では、6周目、7周目……と、信じられない周回数の全国トップスコアが記録されていく……。
 悔しいという気持ちは微塵もなく、ただひたすら不思議でならなかった。「オレだってこんなにがんばってスゴイ弾避け(※2)をしているのに、6周も7周もクリアできるヤツは、いったいどれだけ弾避けが上手いんだ? 反射神経や動体視力が根本的に桁違いなのか?」と……。田舎の貧乏学生だった当時は、上級者のプレイを見られる場所はもちろん、最先端の攻略情報に触れる機会も、身近にはまったくなかったのだ。
 「気合い」と「まぐれ」がたまたまシンクロしたときは、3周目の5面がクリアできることはあったものの、そんな偶然が2周連続で起きるはずもなかった。当時のオレは4周目の5面まで進められることができれば、天寿をまっとうしたかのような気分で席を立っていた……。


■開眼

 「もっと弾避けのテクニックを磨かなくては!」ひたすら見当違いの熱意をサラマンダに注いでいたオレにも、転機の時が訪れた。友達のつてで、軽く5〜6周以上クリアできる上級者のプレイを見る機会に恵まれたのである。
 「どんな超人的な弾避けが見られるのか?」という期待に反し、そのプレイに派手な弾避けはなく「いかに弾避けをしないようにするか」を追求した動きだった! ザコが吐き出す大量の弾はプレイヤーの意のままに誘導され、決して自機が追い詰められる場面はない。降り注ぐ敵弾と隕石群の中、自機が抜けるべき道が常に存在する……。
 期待しながら、しかし心のどこかでは恐れていた、超人的弾避けのシーン。そんなものは、一切なかった。
 このことは、弾避けの能力や、とっさの判断力こそがシューティングの上手さだと思っていたオレには、大きな衝撃だった。「きわどい弾避けをしないように工夫することが重要」という、180度違う攻略概念を見せつけられたんだから、当然といえば当然だ(※3)。
 上級者のプレイを見せてもらった後には、これなら余裕でマネできるという安堵の気持ち、自分に欠如していた攻略概念に触れた驚き、そして、ほんの少しの失望感(※4)が残っていた。失望感の理由は当時自分でも分からなかったけれど、このときの複雑な気持ちは今でも鮮明に覚えている。
 この後は、パターン化ということを意識しながらシューティングをプレイするようになり、サラマンダも比較的スムーズに自己ベストを伸ばしていくことができた。
 オレはサラマンダというゲームをやり込むことによって「危ない弾避けをしないパターンを作る」という攻略概念を認識させられた。そしてそれは、弾避けのテクニックと同等以上の武器であることも教えられた。このことが、その後あらゆるシューティングゲームに対して役立ったことは言うまでもない。そう考えると、3周目5面のザコ編隊に対して、アドリブの弾避けだけで立ち向かった日々というのは、そんなに無駄ではなかったような気もする。

 名作と呼ばれる作品はゲームとして面白いだけでなく、プレイヤーを育てる力がある。現在一線級で活躍しているシューティング系のスコアラーには「怒首領蜂」や「バトルガレッガ」によって開眼した人が多い(※5)ことも、それを証明しているのではないだろうか。



●コラム(左ページ上段)

3周目5面地獄めぐり

■地獄その一 ザコ編隊
 高速で飛来する隕石群のなか、画面左端の上下から、自機を取り囲むように大量のザコ編隊が出現する。3周目ともなると大量の弾を自発的に撃ってくるうえ撃ち返し弾も加わるため、いきなり難度が高くなる。

 正解のパターンは、画面全体を大きく使ってザコ編隊を誘導し、敵弾を上手くまとめながら避ける、というもの。思い切って画面右まで移動しなければならないだけに、普通に弾避けするプレイをしていても、なかなかたどり着けないパターンである。


■地獄そのニ ザブII
自機を囲む形で出現するザブが撃ち返し弾を撃ってくるため、撃たずに左右に動いて避けるパターンが正解。筆者は、当時の某メストの曖昧な攻略記事(はっきり言ってウソ記事)のおかげで1回目を右に避けようとして死に、「当たるじゃん!」とか言って、それ以降撃ちまくりで避けようとしていた。当然、死にまくり。今思い出しても腹立たしい。


■地獄その三 ベルベルム高速編隊
画面の上下を凄まじい勢いで突っ込んでくるベルベルム編隊の場面。やはり撃ち返し弾のおかげで極端に難度がアップ。ここまでまともな状態でたどり着けることが少なかったため、なかなかフル装備状態で練習できずに苦労した。



●コラム(左ページ上段)

■※1:パターン性の高いシューティングばかりではなかった〜
 筆者は「ノバ2001(84年/UPL)」「ギャプラス(84年/ナムコ)」あたりから本格的にシューティングをやりだし、サラマンダが出たころは「スターフォース(84年/テーカン)」「ツインビー(85年/コナミ)」「グラディウス(85年/コナミ)」なんかをよくやっていた。これらのタイトルを見て思うけど、やはりこの頃って、サラマンダくらいギスギス(?)した完全パターンシューティングって、ほとんどなかったんだよね。上に挙げたタイトルでは、グラディウスくらいかな、パターン性が強いのは。
 この頃は、なんとなくそのゲームのシステムとか理解して、普通にやりこんでいれば、自然と上手くなれるシューティングが多かったと思う。ましてや、サラマンダの5面みたいに、弾避けそのものをかなりの精度でパターン化しなきゃいけないゲームなんて、ほとんど無かったし。パターン性の高いシューティングは、この頃から増えていった気がする。

■※2:スゴイ弾避け
 行き詰まって「3周目の5面はもっとオプションが広がらないとダメだ!」とか言って、本気で3速(このゲームはスピード2速が正解)を使っていた時期もあって、さらにドツボにはまっていった。ザコ編隊のパターンは出来てねーし、ザブ2は全部撃って避けようとするんだから、そりゃースゴイ弾避けになるよな。今考えると、たまにとは言え、こんなプレイで3周目の5面をクリアできた時があったっていうのもキテる。

■※3:180度違う攻略概念
 180度違うっていうのもちょっと大ゲサなんだけど、それ程ショックだったってこと。
 まあ、それまでの自分が「弾避けをしない工夫」というものをまったくしていなかったかと言うと、決してそんなことは無かったはずなんだけど、きちんと意識しているか否かで、とんでもなく大きな差になるわけで……。
 とにかく、サラマンダをやり込むまでは、シューティングゲームって、頭を使うもんじゃないと思っていたからなぁ。

■※4:失望感
 何年も経って、仕事柄、シューティングゲームの面白さとは? みたいなことを深く考えるようになって、少しこのときの自分の気持ちが分析できるようになった。結局、当時の自分はアドリブの弾避けの面白さこそがシューティングゲームの面白さだと考えていたから、完成されたプレイにアドリブの弾避けシーンが無かったことで、少しサラマンダというゲームがつまらなく見えたんだと思う。
 もちろん、これがきっかけでパターン作りの面白さや奥深さを知っていくことになったし、完全パターンゲームの魅力を知ることもできた。サラマンダというゲームも、パターンゲームとしてきちんと遊ばなければ、本当の楽しさを味わえないゲームだったんだと、上達してからしみじみ感じたし。
 余談になってしまうが、パターンゲームと非パターンゲーム、それぞれの魅力というのは、かなり深いテーマだね。今後このページで扱ってみたいと思う。

■※5:開眼した人が多い
 ハイスコアのコーナーにて今年の5月号から始まった「スーパープレイヤー列伝」を読んでもらえば分かると思う。本誌ライターの京城がスコアラーのインタビューに行き、色々なことを聞いてくるという企画だが、必ずと言っていいほど「怒首領蜂」と「バトルガレッガ」の話しが出てくるのだ。  特に「怒首領蜂」はシューティング入門用として、最高のゲームだったんじゃないかと思う。アドリブ弾避けの訓練になる部分も多いし、パターン化の概念が必要とされるシーンもきちんと存在している。シューティングとして様々な面白さがバランス良く含まれていて、それが学べる事柄の多さにそのままつながっている。このゲームからシューティングに入った人はホントにラッキーだと思うよ。ちなみに「怒首領蜂2」が出たけど、こっちは微妙なので「怒首領蜂2やり込んだのに、A級シューターになれなかった! 責任取れ!」なんていう苦情を言ってこないでください、と言いたい。




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