01年12月号 「危険行為推奨シューティングの世界」

奇妙で過激な得点システムたち……
それは、行きすぎたスコアバトルの落とし子


04/05/14 アップ
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●本文

 最新作『式神の城(アルファ・システム)』のテンション・ボーナス・システムや『ライデンファイターズ(96年/セイブ)』『サイヴァリア(00年/サクセス)』に代表される「カスリ点」など、近年のシューティングゲームには「危険行為」を評価して得点を与えるタイトルが少なくない。
 この手の奇妙なシステムには一種独特の魅力があり、点数稼ぎに命をかけるスコアラーはもちろん、普段はそれほどスコアを気にしないプレイヤーまでもが、意外に無茶なことをしてみたくなるようだ。「もう少し! まだ行ける!」と無理を重ね、結局「あっ!」となるまでがんばってしまう……こんな経験は多くのプレイヤーが経験していることだろう。
 今回は、このような「危険行為推奨シューティング」の歴史を、オールドゲームミュージアム的視点で振り返ってみることにしよう。

■ループゲームでの価値観

 こういった過激な得点システムが出現した背景には、雑誌メディアによるハイスコア集計、ループゲームの減少など、いくつかの要因が影響していたと思われる。
 ループゲームというのは、1周クリアしても2周目、3周目……とゲームが続き、腕前さえあれば無限に遊べるタイプのゲームのこと。近年では絶滅寸前だが『スペースインベーダー(78年/タイトー)』などのビデオゲーム黎明期から80年代後半にかけては、シューティングを中心にループ制の作品がかなりの割合を占めていたのだ。現在では考えられないことだが、アクションやパズルでも珍しくはなく、『ギャラクシーフォース(88年/セガ)』のような大型筐体ものですらループ制の作品が見られたほどである。
 こういったループゲームが主流だった時代、ハイスコアを出すために最も重要なことは、危険を冒さず堅実に生き残ることだった。
 特に、エブリエクステンド(一定得点ごとに何回も1UPする)がないゲームでのミスは取り返しがつかず、危険を伴う点数稼ぎに手を出して残機を失うのは、ある意味、愚かな行為だったと言っていい。
 生きてさえいれば、結果は後からついてくる。ループゲームのスコア・アタックは、耐久レースのような側面を持つものだ。
 しかし、80年代後半になるとループ制のルールを持つ作品数は次第に減少。全面クリアでゲームオーバーになるタイプが増え、必然的にハイスコアの世界も「全面クリアまでにどれだけ点数を稼ぎ出せるか」という、スプリント的なスタイルが主流となっていった。

■危険行為への誘い

 ハイスコアの主流が全面クリア時の点数勝負になると、プラスαの得点を稼ぎ出すために危険を冒すことは、スコアラーにとって当然のことになっていく。例えそれが無謀とも思える危険な稼ぎプレイだとしても、そこにはループゲームの世界にはなかった必然性と、充分な見返りが用意されたのだ。これにより、一部のプレイヤーたちは、加速度的に「リスクの味」を覚えていくことになる。多くのプレイヤーが、スコアを稼ぐための手段とは切り離した上でなお「危ないことは面白い」「危ないことはカッコイイ」ということに気付いてしまったのだ。
 そして89年。通常のプレイではおよそ考えられないような「危険行為」を評価対象とする、過激な得点システムを備えたシューティングゲームが登場した。
 UPLから発売された『オメガファイター』である。破壊した敵機と自機との距離が近ければ近いほど倍率がかかり、最大10倍もの倍率にもなる得点システムは、現在の感覚で見てもかなり過激だと言えよう。
 『オメガファイター』以降も、UPLやNMKの作品には、こういった危険行為推奨システムが多く見られるのが興味深い。『アクロバットミッション(91年/UPL)』『はちゃめちゃファイター(91年/NMK)』『ガンネイル(93年/NMK)』『P-47 ACE(95年/NMK)』等々……。初期の危険行為推奨シューティングは、ほとんどこの2社のみによって開発されていったのだ。
 しかし、この2社は、その後間もなくアーケードゲーム業界から姿を消す運命にあった。

■骨格の魅力

 それがUPL、NMKの不振に、どれだけの影響があったのかまでは分からない。しかし、2社の前述した作品群の中には、一般的にヒットした、インカムを稼いだ、といえる作品はなかったと言ってよい。両者の作品はマニア評価の高さと、一般プレイヤーからのインカムが比例しない典型例ばかりなのである。
 これは、危険行為推奨を含め、奇抜な得点システムをウリにしたシューティングゲームには、普通に遊んだ場合の面白さが今ひとつの作品が多いからではなかろうか。撃って、避けて、単純に先のステージへ進むことを楽しむ。そんな、シューティングゲームの「骨格」となる部分の魅力に乏しいため、スコアやゲームシステムなどあまり気にしない、一般のプレイヤーを引きつけることができなかったのだろう。
 過去の作品を知る人は、ちょっと振り返ってみてほしい。普通に遊んでも充分楽しめて、凝った得点システムがなくとも、ハイスコアが盛り上がった……そんな作品も決して少なくなかったはずだ。
 そして、そういった作品は多くの場合、マニアの評価と一般プレイヤーからのインカムを両立することに成功している。近年の作品では、彩京による一連のシューティングゲーム、特にストライカーズ・シリーズがその代表と言える。ケイブの作品も、「骨格」部分の完成度と、得点システムの面白さを両立させているものが多い。

 ゲームをプレイする際に「稼げば面白い」というセリフがよく聞かれるようになったのは、いつ頃からだろうか? 今現在の流れを見ていると、奇抜な得点システムを持つシューティングゲームの流れは、もう少し続くことになるだろう。
 これから我々の前に登場するのが「稼ぐと、より面白い」ゲームであることを期待したい。

●コラム(左ページ上段)
元祖 ×10 or DIE!? オメガファイター

(ステージ開始時写真キャプション)
1周8面、全2周クリアでゲームオーバー。珍しいのはそのストーリーで、プレイヤー機は1〜8面までを通して、一機の巨大戦艦の様々なパーツを破壊していくという設定になっている。上の写真は、ステージ1スタート時のミッション内容表示画面で、ターゲットはメインエンジンとなっている。

(稼ぎ写真キャプション。計3枚)
敵を10倍で撃つとゲージがたまっていき、ゲージ全体の50%まで溜めると「オールクラッシュ」というボム的なアイテムがもらえる。そして、オールクラッシュで大型の敵を破壊すると凄まじい得点が入るのだ! 稼ぎが上手くいくと残機が余るので、自爆してさらに稼ぐ!

伝説のパワーアップ アイアン!
ショットはワイドとアイアンの2種が存在する。ワイドはその名の通りだが、アイアンはかなり変わってる! なんと、アイテムを取ってパワーを上げると、射程が短くなるのだ!

これがアイアンのMAXパワー状態。射程は自機1機分程度しかない! この状態でも、正面で敵を撃つと10倍にならないのがミソ。

(まはまん註:ちょうどこのような感じになります。
>■  ←自機とショット。実際には縦シューなので、頭を右に傾けて見てください)

●コラム(両ページ下段)

アクロバットミッション作品解説
縦スクロールシューティング。レバー入力と逆方向に発生するロケット噴射に攻撃力があり、これで敵機を破壊すると得点が2倍になる。このロケット噴射だが、攻撃力が低く、射程も短いので、これでボスにトドメを刺すのはけっこう辛かった。ボーナスキャラで同社作品の様々なキャラクターも出現する。メッセージ色の強いエンディングもいい味出してたが、何を伝えたかったのかはイマイチ分からない。

はちゃめちゃファイター作品解説
グラディウスのようなオプションを装備できる、横スクロールシューティングで、自キャラはカワウソorツチブタ。地面を歩いたり、画面の一番右端にいると、かなりの勢いでスコアが入る(俗に言う走行点)。当然、敵の出現パターンを完璧に記憶していないと、危険行為どころか単なる自殺行為である。ループゲームだが、エブリエクステンドではなく難度も非常に高いため、エンドレスプレイは不可能。

ガンネイル作品解説
ライフ制の縦スクロールシューティング。残りライフが少ないほど得点にかかる倍率が高くなるというシステムが特徴。スコアを狙う場合はスタート直後にわざとダメージを受け、あと1発でゲームオーバーという状況にしてからプレイ開始! 確かに危険行為には違いないが、後で冷静に考えてみると、実は単なるノーミス必須ゲームだった。『デスクリムゾンOX』でも、類似した得点システムが見られる。

P-47 ACE作品解説
横スクロールシューティングだが、地形やボス本体に接触しても死なないうえ、弾かれた瞬間に得点が入りつつ無敵時間まであるというシステムが特徴。当然、スコアラーが稼ぐと、暇さえあれば地形やボス本体に自機をこすりつける異様なプレイとなる。また、一部のボスに対しては、体内に上手くめり込ませることによって自機が連続して弾かれる状態になり、とんでもない高得点を稼ぎ出すことが可能。

UPL解説
スタンダードなゲーム作りを良しとせず、常に一風変わった作品を世に送り出しつづけたメーカー。メジャーなのはお馴染みのキャラクターを使った忍者君シリーズぐらいのもので、多くの作品はマイナー&マニアック。しかし、ゲーム性は玄人ウケする硬派なものが多く、80年代を知るゲーマーには高く評価されている。ちなみに、筆者が好きな同社の作品は、『ノバ2001(84年)』『リターンオブザインベーダー(85年)』『ミュータントナイト(87年)』『アークエリア(88年)』『オメガファイター(89年)』といったところ。『ミュータントナイト』は横視点のジャンプアクションゲームだが、奇妙奇天烈なアイディアがこれでもかと詰め込まれており、筆者的には『パックランド(ナムコ/84年)』の100万倍くらいは面白かったと思う。クリアできる人がいるならば、今でもプレイを見たいと思うゲームです。

NMK解説
初期の作品はNMKの名前が表に出ておらず、ジャレコ販売となっていたため、意外に知名度が低かったメーカー。しかし、UPLと同じく非常に硬派でマニアックなゲーム作りに徹していたメーカーで、やはり80年代マニアの評価は非常に高い。有名どころは『シティコネクション(85年)』『アーガス(86年)』『超時空要塞マクロス(92年)』あたりだろうか。キャラ回し(特定の敵を素早く撃つと、通常出現しない敵が追加出現する現象)による稼ぎの面白さをとことん追求した『サンダードラゴン2(93年)』『超時空要塞マクロス II(93年)』は特にスコアラーに支持された作品で、ハイスコア争いが非常に盛り上がった。『オペレーション(作戦名)ラグナロク(94年)』は地形を撃っても撃ち込み点が入る変なゲーム。地形ギリギリに張り付くと点効率が上がるため、「着陸」して死ぬマニアが後を絶たなかった。

まはまん註:NMK開発ソフトの中に『シティコネクション』が含まれているが、これは実際にはNMKではなくジャレコ開発との話。具体的な情報源は確認できなかったが、当時NMKに在籍していた人物のコメントらしい)


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