02年2月号 「{弾幕分析+自殺行為}×n=「彩京シューティング征服」」

残念ながら、攻略記事中で「死ね」と書くことは許されないのだよ。

03/12/23 アップ
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●本文

 西のシューティングメーカー・彩京は、93年の戦国エースを皮切りに、ほぼ毎年コンスタントに縦スクロールシューティングをリリースしてきた。
 しかし、9年目に当たる2001年、新作縦スクロールシューティングの発表が無いまま2002年を迎えようとしている。現時点で彩京から正式な発表はないものの、どうやら、彩京シューティングの歴史は、ファンが望まぬ形で一段落着いているようだ。
 今回のオールドゲームミュージアムでは、マニアから一般プレイヤーまで幅広く支持された「彩京シューティング」の魅力に迫ってみたい。


■「彩京シューティング」

 「彩京シューティング」という言葉がよく聞かれるように、同社一連の縦シューは、一社の作品のみで構成される、一つのジャンルであるかのようなイメージを作り上げている。それは、シリーズを通して、ゲーム性を支える部分に個性的な要素が多いことからくる印象だろう。
 初期の作品に見られた、弾数制限によるパワーダウン制、前半ステージの配列変化に代表される大胆なランダム要素、金塊やコインのタイミング取り、俗に「彩京弾」と呼ばれる、白弾を中心とした超高速の弾幕etc.……。
 こういった強い個性を持つ彩京シューティングゲームは、オペレーターに対しては堅実なインカムを保証するブランドイメージを与え、毎年秋の新作発表を心待ちにする、根強いファンをつかんできた。
 しかし「強い個性」は、往々にしてアクの強さに結びつく。彩京シューティング独特のプレイ感覚や要求される攻略のセオリーは、熱心な固定ファンを獲得する一方で、「否定派」を生み出す要因ともなっていた。彼らいわく、パワーダウンのシステムに対しては「気持ちよく撃ちまくらせろ」、ランダム要素に対しては「運ゲーじゃねぇか」などなど……。
 そして、否定派の言い分の中で特に興味深いのは「彩京弾」に対するもの。普段は色々なタイプのシューティングをプレイする割に、彩京シューティングとなると「彩京弾」の存在を理由に手を出さないプレイヤーが存在するのだ。これについてはゲームの腕はあまり関係ないようで、さまざまなゲームをやってきた中〜上級シューターの中にも彩京シューティングを好まないプレイヤーはいる。
 ゲーム性のキモでありながら、一部のプレイヤーに受け入れられなかった「彩京弾」。そして、それによりもたらされたゲーム性とは、どのようなものだったのだろうか?


■「彩京弾」の世界

 俗に言われる「彩京弾」というのは、簡単に言ってしまえば、見てから避けるのが難しいほど速い弾のこと。また、一部の場面には例外も見られるが、こういった「速い弾」には少し大きめの白い弾が使われている場合がほとんどで「彩京弾」≒白弾でもある。
 さて、このような「彩京弾」が組み込まれた弾幕というのは、アドリブで対処すること――つまり、視認してとっさの判断で避けること――が非常に難しい。単発弾として少々飛んでくるだけならそうでもないが、後半ステージの複雑な弾幕の場合は、かなりの上級者でも初見のアドリブで避けることは不可能に近いものがほとんどだ。
 そして、こういった「彩京弾幕」に対しては、作戦を練らずに何となく避けようとしたり、少々危なっかしい状況になったくらいでボムを使ったりしているようでは、いつまで経っても上達することはできない。
 どの弾が自機を狙っていて、どの弾が固定弾(自機を狙っていない弾)なのか、死角になる場所はないか、どの弾が来るまでその場所が安全なのかetc.……。
 まずはさまざまな角度から「弾幕の構造」を分析することが必要で、そこから推測される避け方を試しても、十中八九あっけなく死ぬ。それでも挑みつづける覚悟が必要だ。
 こう文章にしてみると多少大袈裟な印象を受けるかもしれないが、自力で難解な「彩京弾幕」を攻略し、「正解」といえる回避パターンをマスターするまでの過程は、まさにこのような「弾幕分析」と「試行という名目の自殺行為」の繰り返しなのである。
 仮に何らかの媒体から攻略パターンを得たとしても、その動きの意味を理解して自分のものにするまでには、やはり相当量の練習を要する場合が多いだろう。
 このように、彩京シューティングというのは、普通に楽しく遊ぶというスタンスでは、なかなか「その上にある世界」に到達できない傾向にあるといえる。
 先に述べた彩京シューティングを嫌う中〜上級者というのも、彩京弾幕の攻略にはこのような過程が必要なことを知っていて、それを敬遠している人が多いのではないだろうか。確かに、ゲーム性としてアドリブの弾避けの比重が高いシューティングは、楽しみながらプレイすることが自然と上達につながりやすい。そういったタイプのシューティングは、上達する過程でも――さらに言えば、下手でも――享受できる楽しさが大きく感じられる傾向にある。
 しかし、彩京シューティングは、パターン性が強く上達過程に厳しい姿勢を要求される代わりに、「正解」を見つけてマスターしたときの見返りに大きな魅力がある。
 プレイの安定はもちろん、アドリブ系弾幕では得られない「弾幕を支配した」という征服感を堪能できるのだ。上達すれば、ギリギリで自機をかすめる白弾がもたらすのは、恐怖や緊張ではなく、快感や優越感なのだ。


■「その上にある世界」を

 理解してほしいのは、先述の「その上にある世界」というのは、必ずしも全2周クリアとか、全国トップスコアとか、そういう絶対的にハイレベルな世界のみを指しているわけではないということ。
 目標は自分なりでいい。今の自分が及ばない弾幕を自力で克服できたなら、それは、一つ上にある世界への第一歩だ。
 もし、今このページを読んでいるアナタが初心者で、上達を望むならば。
 もし、これまで、彩京シューティングとの付き合い方がわからず、遊び込まなかったことを残念に思うのならば。
 まだ、決して遅くはない。今一度、身近なゲーセンに残っている彩京シューティングにコインを投じてみてはどうだろうか。我々はすでに、一生かかっても遊びきれないだけの彩京シューティングを与えられているし、それらが放つ魅力は今も色褪せてはいない。
 そして、越えられない弾幕にブチ当たったら、時にはお金を大事にし過ぎず、自分で考えて自殺行為のような試行を繰り返すのも悪くない。無駄死にに見える死に方をしても、それはほとんどの場合、無駄じゃない。向上心があるなら、どんな死に方からでも何かを学ぶことができるハズだ。



●コラム(左ページ上段)

PSIKYO SHOOTING HISTORY
彩京シューティングと彩京弾の歴史


発売年ゲームタイトル備考
1993戦国エース二周目の難易度が控え目なこともあって、「彩京弾」のイメージは以降の作品に比べるとやや薄いが、ボスを中心として高速弾は多用されている。彩京シューティングとしてのゲーム性は、この時点すでに完成されていた。
1994ガンバードボスや中〜大型機の攻撃を中心に超高速の白弾による攻撃が多くなった。いわゆる白弾=彩京弾のイメージは、この作品から始まっている。画面上部でザコを破壊すると、撃ち返し弾が2WAYになるのも印象的。
1995ストライカーズ1945超高速の白弾がさらに多くなり、「彩京弾」という言葉が定着し始める。二周目の撃ち返し弾は狙い方にランダム要素が入っているため、自機の移動先を狙い撃ちされてミスするケースが多く、マニアを苦しめた。
1997ストライカーズ1945IIこの作品から、弾避けに関するゲーム性に変化が見られる。弾速が遅めのバラマキ弾が多くなり、アドリブで避ける余地のある場面が増加。当時、他社の弾幕系縦シューが初心者にもウケていたことの影響と思われる。
1998ガンバード2発射後しばらくすると急に遅くなる「減速弾」が特徴。減速弾は、発射直後こそ彩京弾と同様の視覚的インパクトを与えるものの、実際には見て避けることが比較的簡単。初心者でも「避けてる感」を味わえた。
1999ストライカーズ1999安定期に入り、全体的な弾幕の傾向に大きな変化は見られない。ボス戦に導入されたテクニカルボーナスを狙う場合、特定のタイミングで弱点となるコアが開くまで待たねばならず、その間ひたすら弾避けを強いられる。
2000ドラゴンブレイズ本作ならではといえる「ドラゴン狙い弾」が二周目に導入される。これは自キャラ本体ではなく、ドラゴンを狙う高速弾。分離中も自キャラではなくドラゴンを狙うため、他に類を見ない、弾幕攻略の新要素となった。


(ストライカーズ1945II画面写真キャプション)
『ストライカーズ1945II』
悪名高き「15門砲台地帯」。彩京弾によるゲーム性が、全面に押し出された屈指の名場面だ。

(ガンバード2画面写真キャプション)
『ガンバード2』
かなりの初速で発射されるが、画面下付近できなり遅くなる減速弾が登場。敵弾の性質に、演出的な側面が存在する。



●欄外

■俺的彩京シューティングベスト3:どれが何位とは決められないけど、三つ挙げるとするならば、『ガンバード』『ストライカーズ1945II』『ドラゴンブレイズ』が特に好き。『ガンバード』は2周目の列車面のアツさ(BGM込みで)が忘れられない。アッシュのイカレ気味なキャラ性能も最高。『ストライカーズ1945II』は、震電という機体のゲーム性に惚れた。2周目になると、2曲ある1〜4面ボスのBGMが、バグで俺が好きなほうの1曲に固定されるってところがこれまた最高。『ドラゴンブレイズ』はかなり冒険しているのに、1作目できっちりまとまっているところがすごい。2周目のボスの、「ドラゴン狙い弾」は天才の発想! ちなみに、本誌ライター善の字元帥のフェイバリットもこの3作だそうだ。




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